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MLT Newsletter

May 2002

 

カリフォルニア州でオーガニック、自然食材・製品を扱うスーパー

Headlines

1

ペタルマ社に表彰状
食品の安全性と
環境問題への対応

 


ペタルマ社の飼料部門、ウィロウブルックフィードはカリフォルニア州穀物飼料協会が2001年度の産業安全賞を目指す60の生産者の中から4年連続で.....

2

日本の食品安全問題

いまや政治問題へ

 


1)  食品表示の偽装事件が相次いでいる
オーガニック・ライフ・コミュニティ誌.....

2) 悪い知らせを伝える―ALIC 月報「畜産の情報」(国内編) 2002年4月号より....

3

ブッシュ大統領を迎えたNCBA年次総会

 


全米肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)は2月6日から9日の間、コロラド州デンバーで年次総会を開催した。今回のハイライトの一つは、NCBAの前身時代を含めた104年の歴史の中で、初めて現役の大統領が出席した
.....

       

   

1. ペタルマ社に表彰状−食品の安全性と環境への対応

カリフォルニア州穀物飼料協会からの受賞
 ペタルマ社飼料部門ウィロウブルックフィードが
 4年連続、2001年度の最高の安全性を確認
 

ソノマ郡発(2002年3月22日)− ペタルマ社の飼料部門、ウィロウブルックフィードはカリフォルニア州穀物飼料協会が2001年度の産業安全賞を目指す60の生産者の中から4年連続で同協会の産業安全賞を受賞した。同協会理事である、ケビン・クラッター氏は、「ウィロウブルック社は単に安全基準についての素晴らしいイ結果を残したことに留まらず、同社経営陣や従業員のすべてが安全へのミットメントをしている点が極めて高い評価を受けることとなった」と言っている。

なお、レッドウッドハイウェイに近いペタルマ市東部にある同ミルでは、ペタルマチキン群−ロッキーとロッキージュニアのナチュラルチキン、そして純正オーガニックチキンのロージーの飼育を行っている。過去15年間に亘って、同ミルでは抗生物質とは無縁のとうもろこし、大豆によりこうした生産を行い、その中には農務省からのオーガニック認定を受けた米国内で最初のオーガニックチキン、ロージーに供与される「認証オーガニック飼料」の供給をしている。 

なお、この受賞はペタルマ社にとっては、今年二番目の名誉ある受賞となったが、2月には環境対応への表彰をペタルマ環境対応委員会から受領している。

  

カリフォルニア州ソノマ郡 環境保全委員会
 −2002年度環境ビジネス賞を同社に授与

ソノマ郡発(2002年3月1日)− ペタルマ社は2002年度の環境ビジネス賞をその先進的な養鶏事業に関してカリフォルニア州の環境保全委員会より受賞した。この賞は、環境に対する際立った事業上の指導力と環境保全へのコミットメントへの評価が認められる企業に対して年一回授与される賞である。ペタルマ社では、養鶏事業の過程におけるあらゆる分野、具体的には養鶏場、飼料、養鶏方法、鶏肉処理及びそれらを統括する管理部門など、についてが対象となり、その実績と記録が評価されたことになる。例としては、養鶏場での節電や廃棄物処理、さらには処理プラントでの天然ガスの使用軽減などを全体としての生産量を増大させながら実現したことが挙げられる。同社では、11人からなる環境対応チームを2001年に結成している。

環境保全委員会の副会長のエリック・アロー氏は、授与式の中でペタルマ社が使用する名刺に記載された次の言葉「わが社の農業の手法は自然と調和しながら、すべての生き物が健康に生きること、そしてそれを自然保護と共に実現することを基本とする」を引用している。また、セバストポルにあるベテランホールで223日に行われた授与式には、カリフォルニア州上院議員ウエスレイ・チェスボロ氏と同下院のパット・ウィギンス氏が参席し、ペタルマ社の素晴らしい実績を述べるとともに、花束を手渡した。なお、会場には300人余が出席した。




 

 
2. 日本の食品安全問題−政治問題へ発展

  食品表示の偽装事件が相次いでいる  

当社と同じ「オーガニック」を中心課題として取り組んでいる、日本のOLC誌(オーガニック・ライフ・コミュニティ誌−旧あかね会)から以下の投稿を頂きました。最近起きている日本での食品問題に関わる全体について参考になりますので、ご一読ください。

新年食品表示の偽装事件が相次ぐ

ざっと最近の新聞を見渡しただけでも、立派な一覧表ができるほどだ。
 

業者の告発により公になった雪印食品を皮切りに、表示偽装問題の多くは、内部告発によって暴露された。農水省が設置している「食品表示110番」(電話03−3591−6529 ,03−3502−5728)には、2月15日の開設から1ヶ月半で1959件の電話が寄せられた。「実はうちの取引先も・・・」といった内容も多く、事態が拡大した。滋賀県が行った抜き打ち調査では、「滋賀県内の食肉処理・加工施設311箇所のうち、135施設で原産地表示をしていないなど、なんらかの表示義務違反があった」。また、全大阪消費者団体連絡会が大阪府内のスーパーマーケットや米屋、酒屋など103店を調査したところ、「26%にあたる27店で表示に不備があった」というから驚く。

偽装表示の原因とは?

これまでにも、"白豚の黒豚化け"、"輸入肉の国産肉化け"、"ノンブランド米のコシヒカリ化け"などは、根強い噂としてあった。雪印食品の事件が大事にならなければ、今でもこれらの不正行為は明らかになってはいなかっただろう。
では、なぜこれほどまでに食品の不正表示が相次ぐのか。BSE(狂牛病)発生以降、売上が激減している牛肉業界では、「差額で儲けるため」というのが大きな原因だが、そこには小売側から「欠品を出すとペナルティー」というルールを突きつけられた生産者や卸売会社の苦悩もうかがえる。

食品産業では、スーパーマーケットの力が絶大である。生産者、メーカー、卸売業者などの納入側は、スーパーに商品を置いてもらうために、価格をどんどん叩かれた上、「欠品が出たら売場面積を減らす」といった厳しい条件を提示されている場合が多い。しかし、植物や家畜の生産量は天候や病気に左右されるし、ストックもきかない。そもそも、青果物や食肉を常時一定量納入させることに無理があるのだ。スーパー側は被害者のような顔をして、「違反行為を犯した業者との取引を停止しました」と威張っているが、無理な要求をしいたスーパー側にも非がないとは言い切れない。

私たち消費者も、いつも同じ棚に同じ商品が同じ量並んでいることが当たり前という意識を捨て、むしろ欠品がないことがおかしいということに気付かなければいけない。スーパーの欠品の棚を見たら、当然のことだと受け止められるようになろう。

JAS法の抑止力

そもそも、JAS法に違反への抑止力がないから、不正が起きるといった見方がある。JAS法の内容は、商品の品質を認定してJASマークを付ける「JAS規格制度」と原産地や賞味期限などの表示内容を定めた「品質表示基準制度」に分けられる。表示違反が相次いでいるのは、「品質表示基準制度」の方である。JAS規格制度は、商品の発売前に、農水省の認定機関が現地で調査するほか、年1回の検査もあるが、品質表示基準制度は、「何十万店もある小売店を調査するのはムリ」(農水省担当官)であるため、調査は行われていない。違反時の罰則も軽い。

農水省では今国会中に、生産者はもちろん、使用した農薬、飼料などの生産方法と流通経路が証明できることを認証する「生産履歴JAS(仮名)」や罰則の強化を含んだ新JAS法をまとめる方針だという。

有機JASマークは大丈夫?

 有機JASマークも、JAS法の一部だから、信憑性に不安を覚えるという人もいるだろう。しかし、有機JASマークが偽装されるのは、仕組み的に難しい。一般の食品がJAS基準に合致しているかどうかは、極端にいえば分析調査ですぐに分かるのに対し、有機食品は分析調査では有機であることを証明できないため、認定機関があらゆる段階の"状況証拠"を徹底的に集めるからだ。

農場なら資材置場の中や、作業記録を確認するし、加工工場なら、原料の購入量と販売量に関する伝票を見て、量が合っているかどうかを調べる。保管業者、輸送業者は、入出荷伝票、入出庫管理の資料などの提示が必要だ。大ロットの有機食品を小分けしてマークを添付する小分け業者も認証を受ける必要がある。有機JASマークのついた商品を扱うルート全体が管理されるから、必然的に、流通の過程でウソがないかどうかも確かめられるのだ。野放し状態の「品質表示基準制度」とは比較にならないほど信用度は高い。

不安だらけのスーパーで、有機JASマークは数少ない信じられる存在だといえるだろう。すべての食品表示を素直に信じられる日はいつ来るのだろうか。


  

悪い知らせを伝える?

食のインフォームドコンセントと社会生物学的リスクコミュニケーションの提案

◎調査・報告−ALIC月報 2002.4「畜産の情報」(国内編)

国立療養所犀潟病院 臨床研究部 生化学研究室長 池田正行氏


BSE問題で日本の行政はどうすべきだったのか

 BSE問題では結果論だけで農林水産省を中心とする行政が非難されている。
しかしそれだけでは同じ間違いがまた繰り返されるだけだ。本論では、まず、今
後の危機管理に役立てるために行政はどうすべきだったのか、それができなかっ
たのはなぜなのかを過去にさかのぼって考えたい。

 日本にも英国を含む欧州諸国から肉骨粉は輸入されていたのだから、日本でも
BSEが発生する可能性はあった。平成13年12月の調査では、農林水産省職員では
91人中18人(20%)、厚生労働省の職員では14人中5人(36%)が「国内でBSEが
発生する以前に懸念を有していた」と答えている。では、なぜその懸念を公表し、
発生に備えられなかったのか。苦い教訓を今後に生かすためには行政を責めるよ
り、このような素朴な疑問に答えることの方がはるかに重要である。しかもその
答えは簡単に見つかる。安全なJビーフ神話を自ら叩き壊すことなどできるはず
がなかったのだ。たとえ厚生労働省がBSEの国内発生の可能性を示唆しようとし
ても、農林水産省はもちろんのこと、現在BSEの被害者である畜産業、流通・小
売業業界から猛烈な圧力がかかって簡単に潰されていただろう。まして研究者が、
何の後ろ盾もなしに単独でBSE発生の可能性を指摘することなど、できようはず
がなかった。こういった事実を踏まえずただ農林水産省を非難しても何の説得力
もないし、今後の危機管理にも全く役立たない。13年4月に農林水産省がEUの調
査への協力を拒否した時もほんの一部の新聞がべた記事扱いしただけだったのだ
から、BSE発生後あれだけ大騒ぎしたメディアにも警告を怠った責任がある。私
が、8年から開設しているBSE情報提供のホームページ(http://square.
umin.ac.jp/~massie-tmd/bse.html)で、EUの調査への協力を受け入れるよう楽
観論に対して警告してもその声はどこにも届かなかった。

 日本の行政当局が国内でのBSE発生の可能性を事前に認めるチャンスは少なく
とも2回あったと私は考えている。これは決して結果論ではない。第1回目は、
12年11月、ドイツ・フランスを中心に起こった第2次欧州BSEパニックの時だ。
日本と同じように対岸の火事視していたドイツで2人の閣僚が辞任する事態にな
ったのだから、ドイツより確率は低いと思われるが、日本も他人事ではないとい
う方針を打ち出せた。

 第2回目のチャンスは、13年4月、EUが日本でのBSE発生の可能性を指摘した
報告を出そうとした時だ。この報告書に対し、農林水産省はEUの調査に協力し
ないと明言した。しかし、EUの調査はBSE発生の懸念を公表する絶好機だった。
日本人は外国からの圧力に弱い。EUの調査を格好の「外圧」として利用すれば、
安全なJビーフ神話を守ろうとする圧力を回避しながら、BSE発生の危険性を消費
者に対して周知できた可能性がある。その一方で、欧州での教訓と、口蹄疫清浄
化で発揮された日本の優れた防疫体制と獣医学の力でBSEコントロールは十分可
能であることを広くアピールすべきだった。しかし、実際には、農林水産省は国
粋主義に凝り固まって失敗した欧州各国の轍をそのまま踏んだのだ。

リスクバランスの崩壊と安全性強調の危険性

 BSEの場合、行政が一般市民へのリスク伝達(リスクコミュニケーション)
に失敗したためにゼロリスク探求症候群やあてつけボイコットといったリスクバ
ランス感覚崩壊の嵐が巻き起こり、パニックの被害が拡大した。

 このようなリスクバランス感覚崩壊によるBSEパニックを鎮めるべく、全国各
地で「牛肉は安全です」とのキャンペーンが繰り広げられている。しかし、消費
回復は思わしくない。ここで、この安全キャンペーンが果たして有効なのかを考
えてみたい。厚生労働、農林水産両大臣がテレビカメラの前でそろって牛肉を食
べて見せたのは象徴的な出来事だった。1頭だけにとどまらないことをすでに覚
悟し、なんと愚かなと冷ややかな目でテレビを見ていたのは私だけではあるまい。
案の定11月21日に2頭目が出てから、それまで徐々に回復しつつあった牛肉消費
が一段と落ち込んだ。消費者の間からは「安全だと言ったのに、またもや嘘では
ないか」とのとんでもない誤解に基づく非難の嵐が巻き起こった。安全宣言とい
う名前は、あたかももうBSEはもう出ないという誤った印象を与える。実際はこ
れからどんどんBSEを見つけますという宣言なのだから、水際作戦開始宣言と名
付けるべきだ。私は全頭検査開始以前から、ホームページやテレビ番組でそのよ
うに主張していた。しかし、私の警告はEUの調査拒否への警告と同様どこにも届
かなかった。

 就任早々から「痛み」を宣言した小泉首相は、人気が落ちたとは言え、なおも
国民の過半数の支持を受けている。一方、状況が改善しないと誰の目にも明らか
な時に楽観的な見通しだけを述べれば逆狼少年として誰にも信用されなくなるば
かりか、嘘つきとして攻撃を受けるだけである。そもそもEUの調査を拒否し、B
SE国内発生の可能性から目をそらしていたからこそ、生産・流通・小売と行政
が一体となって「安全なJビーフ」キャンペーンを展開できたのだ。現在の安全
キャンペーンのどこが違うのか、もうだまされないぞというのが一般消費者の率
直な気持ちだろう。

 現在の消費者の最大関心事はBSEがあと何頭、異型クロイツフェルトヤコブ病
患者が何人発生するかである。予想は困難としても、そのために専門家がいる。
おおよその数だけでも消費者に呈示すべきである。一方で日本の畜産業と関連流
通・小売業が何千億円の被害を被り、何万人の失業者が出るのかといった数字も
合わせて伝え、消費者自身にも判断を仰ぐのが現代の消費者意識にかなった本当
の情報公開だろう。これまで、行政は前もって悪い知らせを伝える仕事(リスク
コミュニケーション)の経験に乏しかった。しかし、いつまでも「民には知らし
むべからず」では行政・生産・流通・小売ずれの苦労も伝わらず、消費者の怒
りもいつまでも納まらない。

BSEパニック被害者間での仲間割れ

 では、BSEパニックの被害者側は結束して対抗しているかというと全く反対だ。
行政・生産・流通・小売、消費地・生産地、あるいは国産・輸入と、さまざまに
色分けされるそれぞれの業界が仲間割れしている。自分のところは輸入牛肉を使
っているから安全だ(つまり国産は危ないから食うな)という愚にもつかない宣
伝を行なったり、雪印食品のように利己主義に基づく犯罪に走ったりして内部分
裂を繰り返している。また、一部消費者と一緒になって農林水産省叩きを繰り返
し「農水省の言うことはすべて信用できない、だから安全性は嘘だ」という論理
を助けてしまっている。ついこの間まで「安全なJビーフ」の蜜月時代だったの
に、なんという様変わりだろう。行政の誤りを指摘することは大切だが、怒りの
感情だけで行政を攻撃しても結局は自分たちの首を締めていることに気づいてい
ない。

BSEパニックの本質は感染症に対する差別と偏見

 「安全だ、正しい知識だ」と叫んでも、牛肉の消費は一向に回復しない。BS
Eの背後には、異型クロイツフェルト・ヤコブ病(以下vCJDと略)がある。現段
階では差別の対象が牛肉という物に限定されているが、vCJDが国内で発生すれば
差別の対象は直ちに人間になる。典型的な差別の対象となっているHIV感染(エ
イズ)とvCJDとの共通点を考えると、BSEと差別の問題は一層よくわかる。つま
り、HIV感染とvCJDは行政スキャンダル、病気の与える不気味な印象、死に至る
不治の病といった点でとてもよく似ている。HIV感染症ではホモセクシュアルだ
けの病気だとか、握手をしてもうつるなどという、とんでもない誤解に基づく差
別が横行した。一方、まだ国内発生を見ない段階でも、すでにvCJDに対する差別
は起こっている。私のように、欧州のBSE発生国に8年以前に半年以上滞在経験
のある者はvCJDのリスク有りとして献血もできないし、臓器移植のドナーにもな
れない。今や固唾を飲んで患者発生を待っているメディアは、vCJDの第1例が出
るや否や患者とその家族の生活をずたずたに引き裂いてしまうだろう。

 かつて、あるエイズ患者がテレビで「エイズ撲滅キャンペーンというのは、自
分を撲滅するキャンペーンのように思える」と語っていた。私も今、vCJDのハ
イリスクを負った者として彼の気持ちがよくわかる。今、牛肉さえ拒否している
人たちは私がvCJDを発症し、死んだ後は、私の死体を火葬場ではなくてBSE牛の
焼却場で焼き、土壌汚染を防ぐため、その灰は墓場でなくコンクリートの材料に
するように主張するのだろう。

リスクコミュニケーション技術と教育の必要性
 BSEでは、悪い知らせを伝えること、すなわちリスクコミュニケーションに
失敗したために、上記のようなリスクバランス感覚の崩壊や感染症に対する差別
・偏見が、わが国の畜産業に大打撃を与えてしまった。われわれ医師は、「今日
は血圧が高いですね」から余命宣告まで、実際に出来事が起こる前にありとあら
ゆる悪い知らせを予測して患者に伝えなければならない。一方、行政はサービス
の受け手である一般市民に対して、「健康にいい食べ物」という言葉に代表され
るようないい知らせを伝えることに専念してきた。悪い知らせについては、積極
的に伝えるどころかむしろ目をそらしたり、隠そうとしてきた。しかし、われわ
れの周りには、さまざまなリスクが存在している。

 今後の行政には、一般市民がバランスのとれたリスク判断ができるように、日
常生活に関わるリスクを積極的に開示していく使命がある。これは医師患者関係
におけるインフォームドコンセント(十分な説明と同意)に相当する、サービス
提供者側と受容者側の共同作業である。

 BSEのような社会生物学的リスクのコミュニケーションシステムは、決して
夢物語ではない。現実に、台風情報や火山噴火情報では、見事なお手本ができあ
がっている。これらの自然災害のリスクコミュニケーションにおいては、BSE問
題では互いに非難しあっているメディア、行政、研究者が見事なチームワークを
作ってリスクを伝え、受け手の一般市民もその情報を信頼し、パニックに陥るこ
となく整然と行動している。

 一般消費者にとって、牛肉よりもはるかにリスクを伴う商品の安全管理システ
ムも、日本では立派に稼動している。車がいい例だ。日本の車の品質はドイツと
並んで世界でも一流だが、市場に出た後も欠陥が見つかれば、商品の製造者から
速やかにリコールが告知される。このシステムに違反する製造者がいれば、社会
的な罰を受けることも明らかだ。このように大災害のリスクコミュニケーション
システムやリスクを伴う商品の安全管理システムを立派に稼動させている日本人
が、病気の牛の10頭や20頭に対処できないはずがない。

 海外事情を知りもしないで欧米に比べてうんぬんという輩は、知ったかぶりを
言う前に、英国でどんなヘマとパニックが連続したかを学ぶべきだろう。そして
ロンドンの地下鉄に一度乗ってみるがいい。あるいはロンドンの地下鉄のでたら
めさや英国の役所のいい加減さに、在英邦人がどんなに不満を持っているか聴い
てみるがいい。また、英国では、英、仏、伊、あるいは米系の乗用車の信頼性が
如何に低く、ドイツ車と並んで日本車が如何に評価されているかは誰に聞いても
すぐわかるし、何よりも車の値段に反映されている。さらに、2分おきに運転す
る通勤電車や、コンビニ集配・時間指定の宅配便のシステムを立派に運営維持で
きるのは、この地球上で日本人だけだ。社会生物学的リスクコミュニケーション
システムの確立に一番近いところにいる国民は日本人だと私は信じている。

文 献

1 山内一也日本での狂牛病発生に万全の対策を.科学71、1403-1405.(2001).

2 難波功一、清水実嗣口蹄疫の発生と家畜衛生試験場の対応.
  家畜衛試ニュース2001;103、2-7(2000).

3 池田正行“ゼロリスク探求症候群の蔓延”―BSE騒動に思う―.
  現代農業3月号p,336-337(2001).

4 池田正行 狂牛病QandA.主婦の友社、(2001).

5 池田正行“100%安全”とは幻想である.
  日経バイオビジネス2002年1月号、p3(2002).

6 池田正行牛海綿状脳症と異型クロイツフェルト・ヤコブ病.
  保健婦雑誌、(2002)

 


    Taking a phone call from an athlete's family, President George W. Bush sits with America's Olympic athletes during the opening ceremonies for the 2002 Winter Olympic Games in Salt Lake City, Utah, Feb. 8. White House photo by Paul Morse.

3. ブッシュ大統領を迎えたNCBA年次総会(米国)
 −現役大統領が初出席

 全米肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)は2月6日から9日の間、コロラド州デンバーで年次総会を開催した。今回のハイライトの一つは、NCBAの前身時代を含めた104年の歴史の中で、初めて現役の大統領が出席したことで、ブッシュ大統領は肉牛生産者を前に、上院での審議で大詰めを迎えつつあった(2月13日に通過)次期農業法案などに関して演説を行った。

 ブッシュ大統領はこの中で、肉牛生産者の連邦政府に依存しない姿勢について高く評価したほか、米国が純輸出国として他国に食肉の供給を依存しなくて良い状況にあることに感謝の意を示した。これに続いて同大統領は、次期農業法案に対する行政側の要望について、@潤沢な予算を確保すること。ただし、同法案の実施期間において、ほぼ均衡に配分すること、A過剰生産をもたらすことのないセーフティネット機能を確保すること、B貿易の拡大につながること、Cグラスリー上院議員(共和党・アイオワ州)が提唱しているような農家積立口座をリスク管理手段として導入すること、などの点を改めて説明した。

原産地表示義務化反対など今後の運動方針を決定

 NCBAは総会中、今後の農業政策に関する運動方針を定めた。このうち、牛肉の原産地表示の義務化については、前年の総会ではこれを支持するとしていたものの、今年は、州レベルの団体からの反対により、業界の自主的な表示を支持することに変更された。このほか、@水資源の権利を連邦政府の管轄下に置くなどの立法措置には断固反対すること、A生体牛の売買に関して、パッカーの集中化が不公正な取引につながっていないかどうかを見極めるため、牛肉業界の様々な部門の出身者から構成される監視委員会の設置を議会に働きかけること、B年末に予定されている、水質保全を目的とした大規模畜産経営体(CAFO)への環境規制の最終規則公表に向けて、関連省庁との連絡を密にするとともに、規制の枠内に収める技術の利用が可能となるよう研究を進めること、などが決定された。

 また、今後展開される販売促進活動については、将来「母親」として、家族の食事を担う10歳前後の女児に焦点を絞ったキャンペーンを実施することが発表された。例えば、4月から行われる広告キャンペーンでは、ソルトレークシティ五輪・フィギュアスケートの米国代表であるサシャ・コーエンを起用し、牛肉が健康的な食事の一端を担うことを「J‐14」、「Girls’Life」などのティーン向け雑誌上で訴求する予定となっている。

チェックオフ制度は68%が支持

 こうした活動は、肉牛の取引時などに肉牛生産者などから課徴金を徴収するチェックオフ制度に基づくものであるが、現在サウスダコタ州の連邦地方裁判所で、その是非について、引き続き審理が行われている。今回発表された肉牛生産者への第三者調査によれば、68%が同制度を支持、20%が不支持との結果であった。また、72%がチェックオフ制度は豚肉や家きん肉との競争上、役に立っていると答えている。一方、チェックオフ制度に関する情報提供について、十分または多少得ていると回答した人が61%、得ていないなどと回答した人が39%に上った。

 今回の年次総会では、NCBAの新会長にアイオワ州の肉牛生産者であるウィス・ウィリー氏が就任し、次期会長としてアイダホ州の肉牛生産者であるエリック・デイビス氏が選出された。

品の説明から会社の歴史、オーガニックやフリーレンジの説明、さらにはレシピや販売店の紹介まで詳細な情報が盛り沢山に掲載されています。残念ながら、英文版しかありませんが、是非ご覧下さい。


 


(編集後記: 2002年5月号)

今月号ではペタルマ社の嬉しいニュースをお届けしました。それは、故シャインスキー氏の徹底した食品安全性へのこだわり、本物を生み出す自然の恵みを基本とした農法、そしてそうした恩恵をもたらす自然環境への感謝といたわりの心が確実に次世代に引き継がれていることが、この受賞を通じて確かなものとして証明されたことです。

他方、日本での食品安全問題はBSE(狂牛病)に端を発し、その後はあらゆる分野での信頼性に疑問が投げかけられることとなり、消費者は何を信用すれば良いのかなど、食べるものへの不安に加えて、食品業界全体への不信にも繋がりかねない様相を呈しています。今月号では、OLC誌の記事をお借りして、最近の様子をまとめて報告しました。また、専門家の意見はALIC誌より引用しています。一方、米国のニュースでは、現役大統領が畜産業界の総会に出席するなど、テキサス州出身のブッシュ氏ならではの農業分野への重点策が読み取れます。

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このホームページのキーワードはひたすら「オーガニック」です。皆様からのご意見、お気付きの点など、何でも結構ですからお送り下さい。ご利用の皆様にとって、ニュースレターを読むのが楽しくなる、そんなホームページにするよう、これからも頑張りたいと思います。

(5月4日記)

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